お金を扱う仕事に就いて、かれこれ22年。
私は、より道だけでなく、その名の通り”より添うより子”として、
これまでたくさんの方の”お金の不安”に寄り添ってきたなぁと、改めて思う。
思い返せば、いつの時代も人々の悩みは概ね次の通り。
「このままいって、将来お金が足りるのか？」
「老後は年金だけで足りるのか？」
そういったお金の不安を抱えている方の多さに、こちらが不安になったくらいだ。
なぜかいつもお金には不安が付きまとう。
お金って、人生を楽しく生きるためのものなのに……。
「なんでこんな風に不安が付きまとうのだろうか？」
そう考えた時、世の中に不安を煽るような情報が蔓延していることが理由だと気づいた。
多くの人は、誰の話でもないことを、自分のことのように考えてしまっているのだ。
だからこそ、自分のための”ライフプラン”を作ることが大事なのに、それがないから簡単に情報に踊らされてしまう。
その良い例が（悪い例か。笑）人々が不安だと”保険”がよく売れる。
日本人の保険加入率は9割にも及ぶということも、情報に踊らされているのが如実に現れている。
そして、日本人の多くの人が金融資産の半分以上を銀行の普通預金に入れている。
「さすが島国」と思うほど円だけを信用しているし、
例えばiPhoneユーザーであってもアップルの株価を知らないでいる。
ワクワクするところに、お金を回していないのだ。
不安を埋めるところには、たくさんお金を投入するのに……。
一方で売り手側は、人々が不安でないと困るわけで。
売ることをメインに考えている売り手は、たとえFPであっても、現状では保障が足りないと煽るようなライフプランを作ってくる。
細工をすれば、いくらでも足りない方向に持っていけるのがライフプランだ。
保険や金融商品を売るための”足りないライフプラン”を横目に、私はいつも”足りるライフプラン”を提案してきた。
そして、足りることを知ることこそが大事だと伝えてきた。
実際に、年金だけでも食べていこうと思ったら十分生活はできる。
日本人が信用しているこの国がなくならない限り、年金制度も崩壊しない。
かく言う私自身の現在の食費は月2万円程度。
これが80歳にもなって歯がなくなれば （想像したくないなあ。笑） 、
肉もそんなに食べずに豆腐やお粥で十分となり、益々足りてくると私は読んでいる。
今はまだその領域までいっていないけど、それでも月2万で十分足りているし、
こうして健康でいられることに幸せを感じる。
なんといっても健康が1番だ。
健康はお金では買えないから、これ以上の贅沢はどこを探してもない。
今あるものの中で、やりくりをしたり、幸せを見つけたり、楽しむ時間を作ったり……
そんな風に生きていると、「ああ、私はもう十分持っているな。足りているな。」と感じる。
16円の麺を食べている時だって私にとっては至福の時で、これ以上のごちそうはないと思えるのだ。
そんな時に私が思い出すのが、老子の言葉「足るを知る」である。
足るを知ることが、実は幸せへの近道であることを、我々人間はつい忘れてしまう。
だから、私もいつも思い出しては気をつけている。
そんなことで、2021年締め括りのエッセイは、私からの今年最後のメッセージとしてこのタイトルで書いてみた。
もちろん私が言った言葉ではないけど、いつも心に留めて大切にしている言葉だ。
改めて、今皆さんが持っているものを思い出していただきたい。
それらの宝物に、たくさんの喜びと幸せを感じていただいて、来年もどうぞ素敵な1年をお過ごしください。
新年を迎えるにあたって、”足るを知るためのライフプラン”のご用命いただければ幸いです。
それではよいお年を。
